余計なことだと考えたんだよ。
僕自身の調査はもう少し念入りだった。それはさっき言ったような理由から念入りにやったのさ。――つまり、一見不可能らしく見えるすべてのことが実際はそうでないということを証明しなければならん[#「しなければならん」に傍点]のは、この点にあるのだ、ということを僕は知っていたんだから。
僕はこんなふうに――帰納的《ア・ポステリオリ》に――考えを進めた。犯人はこの二つの窓のどちらからか逃げたに決っている[#「決っている」に傍点]。そうだとすれば、窓は内側からふたたびあのようにしめることはできなかったはずだ。――こいつが、それが実に明瞭であるために、警察がこの方面の調査をやめにしたわけなんだがね。それだのに窓枠はしまっていた[#「いた」に傍点]。とすると、窓にはひとりでしまる力がなければならん[#「なければならん」に傍点]ことになる。この断定には逃げ道がないのだ。僕は邪魔のないほうの窓のところへ歩いて行って、ちょっと骨を折って釘を引き抜き、それから窓枠を上げようとしてみた。一所懸命にやってみたが、僕の予想していたとおり、それは上がらなかった。そこで僕は隠し弾機《ばね
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