声とについての部分――だけからの正しい推定でも、この怪事件の調査の今後いっさいの進展に一つの方向を与える十分な手がかりになると、はっきり言いきれるね。いま『正しい推定』と言ったが、これでは僕の言いたいところは十分に言いあらわせない。僕は、その推定は唯一の[#「唯一の」に傍点]正しい推定であるということ、また、その手がかりはそのただ一つの結果としてそれから必ず[#「必ず」に傍点]起ってくるものであるということ、を言いたかったのだ。だが、その手がかりというのがどんなものかは、今すぐは言わないでおこう。ただ、それは僕にとっては、あの室内での僕の調査に、ある一定の形――ある確実な傾向――を与えるに足りるほど力のあるものだった、ということを心にとめてもらいたい。
 いま、かりに、二人があの部屋へ行くとしてみよう。第一に僕たちはそこでなにを探すだろう? 殺人犯人の逃走した手段さ。僕たち二人とも超自然的なことなど信じはしないのだ。レスパネエ夫人親子は幽霊に殺されたんじゃない。殺人をやった者は実体のあるもので、その実体で逃げたんだ。ではどうしてか? 幸いにも、この点については唯一の推理の方法があって、
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