のに、めいめいがみんなそれを外国人[#「外国人」に傍点]の声だと言っていることなのだ。一人一人がみんな自分の国の者の声ではなかったと信じている。みんながそれを――自分がその国語を知っている国の人の声と思わないで――その反対に思っている。フランス人はスペイン人の声だと思い、『自分がスペイン語を知っていたなら[#「自分がスペイン語を知っていたなら」に傍点]いくつか言葉を聞きとれたかもしれない』などと言っている。オランダ人はフランス人の声だと言っているが、『フランス語がわからないので、この証人は通訳をとおして調べられた[#「フランス語がわからないので、この証人は通訳をとおして調べられた」に傍点]』と書いてある。イギリス人はドイツ人の声だと考えているが、『ドイツ語はわからない[#「ドイツ語はわからない」に傍点]』のだ。スペイン人はイギリス人の声であることは『確かだ』と思っているが、『彼は英語を少しも知らないので[#「彼は英語を少しも知らないので」に傍点]』、ぜんぜん『音の抑揚で判断する』のだ。イタリア人はロシア人の声と信じているが、『ロシア人と話したことはない[#「ロシア人と話したことはない」
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