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思ひいづるをり焚く柴の夕煙。むせぶもうれし、忘れがたみに(新古今)
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此などの緊り方はどうも、連誹趣味である。此呪ふべき技巧に囚はれながらにも、残された作物には、文学として価値のある物が、尠くない。情熱と技巧と相具つた方だが、惜しい事には技巧が勝つた。情熱に任せて作られた様な物に、却つて佳作がある。
良経も院同様、時代の文学態度に呪はれた一人である。良経は豊かな天賦を持つて生れながら、其をまつ直には伸べないで了うた。彼の家集「秋篠月清集」は、拘泥なく歌うた痕が見えておもしろい。彼は、院ほど情熱家ではない。色々な試みもしてゐるが、此集は、わりあひに、創作動機の濃《こま》やかに動いた痕は見えない。可なり安易な気分で辞をつけて居る様な風にさへ見える。さうした時々優美に徹した歌を交へてゐる。「月清集」は謂はゞ、彼の習作集である。

     一〇 家集と撰集と

当時の都の歌風から少し遅れた千載集様の歌口を保つてゐたに限らず、実朝が、万葉調をある点まで正しくうつし出したことを土台として、当時の文壇を考へると、万葉集のとり扱ひ方に、時代的の変遷が見られるや
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