しても矯正せねばなりません。見た目から出た略語で、口から生れたものではないのです。目を主とするから、さうした事が出来るので、正しい略語発想によるなら、語頭に近い音綴ほど大切にするはずです。おしろい[#「おしろい」に傍点]などは其一例です。しろいもの[#「しろいもの」に傍点]ゝ略語なのは、言ふまでもない事です。暖簾の屋号からわり出した呼び方の類とは違ひます。
何と言つても、語が目の支配を受けて、口を閑却すると言ふ事は、正しい事ではありません。語を崩して新しい語を拵へて行く場合だつて、もつと芸術式に、もつと最奥処から出て来てほしいものです。
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(この話は、これでは結着しません。をりを見て、後を書きつぎたいと思ひます。)
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底本:「折口信夫全集 12」中央公論社
1996(平成8)年3月25日初版発行
初出:「教育論叢 第十三巻第五号」
1925(大正14)年5月
※底本の題名の下に書かれている「大正十四年五月「教育論叢」第十三巻第五号」はファイル末の「初出」欄に移しました
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:門田裕志
校正:仙酔ゑびす
2009年4月11日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
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