りましょうか。目下の者が、目上のお方さまに、お教え申すと言うような考えは、神様がお聞き届けになりません。教える者は目上、ならう者は目下、と此が、神の代からの掟でおざりまする。
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志斐嫗の負け色を救う為に、身狭乳母も口を挿《はさ》む。
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唯知った事を申し上げるだけ。其を聞きながら、御心がお育ち遊ばす。そう思うて、姥たちも、覚えただけの事は、郎女様のみ魂《たま》を揺《いぶ》る様にして、歌いもし、語りもして参りました。教えたなど仰っては私めらが罰を蒙《こうむ》らなければなりません。
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こんな事をくり返して居る間に、刀自たちにも、自分らの恃《たの》む知識に対する、単純な自覚が出て来た。此は一層、郎女の望むままに、才を習した方が、よいのではないか、と言う気が、段々して来たのである。
まことに其為には、ゆくりない事が、幾重にも重って起った。姫の帳台の後から、遠くに居る父の心尽しだったと見えて、二巻の女手《おんなで》の写経らしい物が出て来た。姫にとっては、肉縁はないが、曾祖母《ひおおば》にも当る橘《たちばな》夫人の法華経、又其|御
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