−68]《まど》からのぞきこうで、問われたお方様がおざりましたっけ。
――その時、その貴い女性《にょしょう》がの、
たか行くや隼別《はやぶさわけ》の御被服料《みおすいがね》――そうお答えなされたとのう。
この中《じゅう》申し上げた滋賀津彦は、やはり隼別でもおざりました。天若日子《あめわかひこ》でもおざりました。天《てん》の日《ひ》に矢を射かける――。併し、極みなく美しいお人でおざりましたがよ。截《き》りはたり、ちょうちょう。それ――、早く織らねば、やがて、岩牀《いわどこ》の凍る冷い冬がまいりますがよ――。
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郎女は、ふっと覚めた。あぐね果てて、機の上にとろとろとした間の夢だったのである。だが、梭をとり直して見ると、
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はた はた ゆら ゆら。ゆら はたた。
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美しい織物が、筬の目から迸《ほとばし》る。
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はた はた ゆら ゆら。
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思いつめてまどろんでいる中に、郎女の智慧が、一つの閾《しきみ》を越えたのである。
十九
望の夜の月が冴えて居た。若人たちは、今日、郎
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