う不安で不安でのう。のどかな気持ちばかりでも居られぬて――。
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押勝の眉は集って来て、皺《しわ》一つよせぬ美しい、この老いの見えぬ貴人の顔も、思いなし、ひずんで見えた。
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何しろ、嫋女《たわやめ》は国の宝じゃでのう。出来ることなら、人の物にはせず、神の物にしておきたいところじゃが、――人間の高望みは、そうばかりもさせてはおきおらぬがい――。ともかく、むざむざ尼寺へやる訣《わけ》にはいかぬ。
じゃが、お身さま。一人出家すれば、と云う詞《ことば》が、この頃はやりになって居りますが…。
九族が天に生じて、何になるというのじゃ。宝は何百人かかっても、作り出せるものではないぞよ。どだい[#「どだい」に傍点]兄公殿《あにきどの》が、少し仏凝《ほとけご》りが過ぎるでのう――。自然|内《うち》うらまで、そんな気風がしみこむようになったかも知れぬぞ――。時に、お身のみ館の郎女《いらつめ》も、そんな育てはしてあるまいな。其では、家《うち》の久須麻呂が泣きを見るからの。
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人の悪いからかい笑みを浮べて、話を無理にでも脇へ釣り出そうと努める
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