子が、殘つて居た。家構へにも、屋敷の廣場《ニハ》にも、家の中の雜用具《ザフヨウグ》にも。第一、女たちの生活は、起居《タチヰ》ふるまひ[#「ふるまひ」に傍点]なり、服裝なりは、優雅に優雅にと變つては行つたが、やはり昔の農家の家内《ヤウチ》の匂ひがつき纏うて離れなかつた。刈り上げの秋になると、夫と離れて暮す年頃に達した夫人などは、よく其家の遠い田莊《ナリドコロ》へ行つて、數日を過して來るやうな習しも、絶えることなく、くり返されて居た。
だから、刀自たちは固より若人らも、つくねん[#「つくねん」に傍点]と女部屋の薄暗がりに、明し暮して居るのではなかつた。てんでに、自分の出た村方の手藝を覺えて居て、其を、仕へる君の爲に爲出《シイダ》さう、と出精してはたらいた。
裳の襞を作るのに珍《ナ》い術《テ》を持つた女などが、何でもないことで、とりわけ重寶がられた。袖の先につける鰭袖《ハタソデ》を美しく爲立てゝ、其に、珍しい縫ひとりをする女なども居た。こんなのは、どの家庭にもある話でなく、かう言ふ若人をおきあてた家は、一つのよい見てくれ[#「見てくれ」に傍点]を世間に持つ事になるのだ。一般に、染めや、裁ち縫
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