常鼠に似て尾赤く、毛なく、蚯蚓《みみず》のごとし。猫ほど大きく、竹を食い、殊に筍《たけのこ》を好む。家ごとに飼うに、人に馴れて、常鼠を殺せど、その害は常鼠に過ぎたりと。これは支那で竹※[#「鼬」の「由」に代えて「留」、395−12]《ちくりゅう》一名|竹※[#「けものへん+屯」、第4水準2−80−31]《ちくとん》、※[#「けものへん+屯」、第4水準2−80−31]は豚と同じく豕の子だ、肥えて豚に似る故名づく。蘆《あし》の根をも食う故、菅豚ともいう。竹の根を食う鼠で土穴中におり、大きさ兎のごとし、人多くこれを食う。味鴨肉のごとし、竹刺《ちくし》、人の肉に入りて出ざる時これを食えば立所《たちどころ》に消ゆる。福建の桃花嶺に竹多くこの鼠実に多し(『本草綱目』五一下。大阪板『※[#「門<虫」、第3水準1−93−49]書《びんしょ》南産志』下)。これはリゾムス属の鼠で、この属に数種あり、支那、チベット、インド、マレー諸島に住む。日本にも文化の末、箱根山に鼠出で竹の根を食い竹ことごとく枯れた。その歯強くてややもすれば二重網を咬み破ったとさ(『即事考』四)。安政二年、出羽の代官からかようの鼠に関し
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