ランドのストラス・レヴェン洞に住し、上人いずれも鼠を退治すといい、その旧住地と墓に鼠近付かず、その土および供物のパン能く鼠を殺すと信ず(一九〇五年板、ハズリットの『諸信念および民俗』二巻五〇七頁、一八二一年板コラン・ド・プランシーの『遺宝霊像評彙』。ピンケルトンの『陸海紀行全集』三巻一五頁)。日本で正月に餅を鼠に祝う代りにこのパンを取り寄せて与えるがよかろう。
昔四国遍路した老人に聞いたは、土佐の山内家が幕府より受けた墨付百二十四万石とあった。百の字を鼠が食い去ったので百万石は坊主丸儲けとなった。故に鼠を福と称え殺すを禁じたと。『山州名勝志』二に、山城霊山辺の鼠戸長者、鼠の隠れ里より宝を獲て富んだ話あり。これは伏蔵を掘り当てたのだろう。プリニウスの『博物志』に、鼠、盗を好む余り、金山で金を食う。故に鼠の腹を剖《さ》いて金を獲《う》とある。昔インドの王子、朝夕ごとにわれに打たるる女を妻《めと》らんというに応ずる者なし。ようやく一人承知した女ありてこれに嫁《とつ》ぐ。二、三日して夫新妻を打たんとす。妻曰く、王子の尊きは父王の力だ。自分で金儲けて後始めて妾を打てと。道理に詰って王子象馬車乗
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