《へんげ》だろうと思い、夫を勧めて共に往きその蛇に随って巌穴に入り、昔唐の賊黄巣が埋めた無数の金銀を得て大いに富んだという。今按ずるに、世俗に白鼠は大黒天の使令とし白蛇は弁財天の使令として福神の下属という、これ西土の書にも世々いう事と見ゆと記す。『葆光録』に曰く、陳太なる貧人好んで施す、かつて夜一の白鼠を見るに色雪のごとし、樹に縁《よ》って上下し、追えども去らず、陳その妻子に言いしは、衆人言う、白鼠ある処には伏蔵ありと、これを掘って白金五十錠を獲たと(『淵鑑類函』四三二)。宝永六年板『子孫大黒柱』四に『博物志』に『白沢図』という書を引いて黄金の精を石糖といえり、その状豚のごとし、これは人家にあって白鼠を妻とす云々。『宋高僧伝』二に、弘法大師の師匠の師匠の師匠のまた師匠|善無畏《ぜんむい》が烏萇国《うじょうこく》に至った時、白鼠あり馴れ遶《めぐ》りて日々金銭を献ず。予未見の書『異苑』に西域に鼠王国あり、鼠大なるは狗のごとく、中なるは兎、小なるは常の鼠のごとし、頭ことごとく白く、帯しむるに金枷《きんか》を以てす、商賈《しょうこ》その国を経過するありて、まず祀らざれば人の衣裳を噛む、沙門の呪
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