平らぐるが本意とみえる。また現今ヴィシュヌ宗徒の追善用の厨器にガネサを画くなどより、大黒が全然ガネサの変形でないまでもその形相は多くガネサより因襲したと惟《おも》わる。唐の不空が詔を奉じて訳した『金剛恐怖集会方広軌儀観自在菩薩三世最勝心明王経』という法成寺からツリを取るほど長い題目の仏典に、摩訶迦羅天《まかからてん》は大黒天なり、象皮を披《ひら》き横に一槍を把《と》る云々。石橋君がその著八六頁に『一切経|音義《おんぎ》』より文、『諸尊図像鈔』より図を出したのをみるに、日本化しない大黒天の本像は八|臂《ぴ》で、前の二手に一剣を横たえた状が、現今インドのガネサが一牙を口吻《こうふん》に横たえたるに似、後ろの二手で肩上に一枚の白象皮を張り、而《しか》して画にはないが文には足下に一の地神女あり、双手でその足を受くとある。象皮を張ったは大黒もと象頭のガネサより転成せしを示す。ボンベイの俗伝にガネサその乗る所の鼠の背より落ち、月これを笑うて罰せられたという事あり(クルック、一巻一三頁)。大黒像もガネサより因襲して鼠に乗りもしくは踏みおったが、梵徒は鼠を忌む故(一九一五年ボンベイ板、ジャクソンの『コ
前へ
次へ
全81ページ中46ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
南方 熊楠 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング