ア・タンガタ、雌鶏モア・ファフィネなどはわがオンドリ、メンドリに似居るが、オニワトリ、メニワトリといわぬを見ると、英語のファウルと等しく、昔は鶏を本邦で単にトリといったものか。鳥の音《ね》といえば専ら鶏声を指し居る。鶏の名ヘブリウでウーフ、ヒンズスタンでムルギ、タシルでケリ、ジャワでピテク、モレラ等でマヌ、カジェリでテフイなど何に基づいたのか予に分らぬ。
英語に鶏から出た詞《ことば》が多い。例せば雄鶏が勝気充溢して闘いに掛かるごとく、十分に確信するをコック・シュア、妻に口入れされて閉口するを、雌鶏に制せらるる雄鶏に比べてヘンペックト。それからコケットリー、これは昔は男女ともに言ったが、今は専ら女のめかし歩くを指し、もと雄鶏が雌鶏にほれられたさに威張って闊歩《かっぽ》するに基づく。コケットといえば以前は女たらしの男をも呼んだが今は専ら男たらしの女を指す。それからコックス・コーム(鶏冠)はきざにしゃれる奴の蔑称《べっしょう》で雄鶏が冠を聳《そばだ》てて威張り歩くに象《かたど》ったものだ。また力み返って歩むを指す動詞にも雄鶏の名そのままコックというのがある。往年予西インド諸島で集めた介殻《
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