ドン、馬や鳥の形に化けて醜女怪メズサを孕ませ、勇士ペルセウスがメの首を刎《は》ねた鮮血より飛馬ペガソス生まれた。ベレロフォンこれに騎らば鵺に勝ち得べきを知り、アテナ女神の社に眠って金の※[#「革+橿のつくり」、第3水準1−93−81]《たづな》を授かり、その告《つげ》に由って飛馬の父ポセイドンに牲《いけにえ》を献じ、その助力でかの馬泉水を飲みに来たところを捉え騎りて鵺を殪《たお》し、次にソリミ人次に女人国を制服したとは武功のほど羨ましい。さて帰路を要して己を殺さんとせるヨバテースの強兵を殺し尽して神色自若たるを、ヨが見てその異常の人たるを知り国の半を与え女婿とした。それからチーリンスへ還ってアンテアを欺き、飛馬に同乗するうち、突き落して海中に溺死《できし》せしめたまでは結構だったが、ベレロフォン毎度の幸運に傲《おご》って飛馬に乗り昇天せんとす。大神ゼウス虻《あぶ》を放ちて馬を螫《さ》さしめ、飛馬狂うてベを振り落し自分のみ登天す。ベは尻餅どっしりさて蹇《あしなえ》となったとも盲となったともいう。その事インドの頂生王《マンドハタール》が過去の福業に因り望んで成らざるところなきに慢心して天に上りて帝釈ために座を分つに慊《あきた》らず、これを滅ぼさんと企てたが最後たちまち天から落ちて悩死した譚(ラウス英訳『仏本生譚《ジャータカ》』二五八)に類す。ツェツェス説に鵺ベレロフォンに火を吐き掛けんとした時、ベ予《かね》て鋒《ほこさき》に鉛を付け置いた鎗をその口に突っ込み、鉛|鎔《と》けて鵺を焼き殺したと。また後世飛馬ペガソスを文芸の女神団ムーサの使物とす。ムーサ九人ピエルスの九女と競い歌うて勝った時、ヘリコン山歓んで飛び上がるを飛馬が地上へ蹴戻した、蹄の跡より噴泉出でその水を飲む人文才たちまち煥発《かんぱつ》す、その泉を馬泉《ヒッポクレネ》というと。インドにも『リグヴェダ』に載るアグニの馬は前足より霊香味《アムブロシヤ》を出し、アスヴィナウの馬は蹄下より酒を出して百壺を盈《みて》る由。支那では〈易州の馬※[#「足へん+鉋のつくり」、第3水準1−92−34]泉、相伝う、唐の太宗高麗を征し、ここに駐蹕《ちゅうひつ》す、馬|※[#「足へん+鉋のつくり」、第3水準1−92−34]《あが》きて泉を得たり、故に名づく、また馬※[#「足へん+鉋のつくり」、第3水準1−92−34]泉あり、広昌県の
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