妻思念至って深し、荏苒《じんぜん》疾くなり、たちまち昼夢国忠と○、因って孕むあり、後に男を生み朏《ひ》と名づく、国忠使帰るに至るにおよび、その妻|具《つぶさ》に夢中の事を述ぶ、国忠曰く、これけだし夫婦相念い情感の至る所、時人|譏誚《きしょう》せざるなきなり〉。国忠の言を案ずると、フィリポス王同然自分もちょうどその時異夢を見たのだろう。
仏典に名高い賢相|大薬《マハウシャダ》の妻|毘舎※[#「にんべん+去」、第3水準1−14−15]《ヴィサクハ》女、美貌智慧|併《ならび》に無双たり。時に北方より五百商人その国へ馬売りに来り、都に名高き五百妓を招きスチャラカ騒ぎをやらかしけるに、商主一人少しも色に迷わず、夥中《かちゅう》最も第一の美妓しきりに誘えど、〈我邪念なし、往返徒労なり〉と嘯《うそぶ》いたとは、南方先生の前身でもあったものか、自宅によほどよいのがあったと見える。かの妓|躍気《やっき》で、君は今堅い事のみ言うが、おのれ鎔《と》かさずに置くべきか、していよいよ妾に堕された日は、何をくれるかと問うと、その場合には五馬を上げよう。もしまた当地滞留中いささかも行いを濫《みだ》さなんだら、和女
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