土人殺してこれを食う、胆を取りて疾を治し甚だこれを貴重す〉という(『本草綱目』)。学名ヴァラヌス・サルヴァトル、北インドや支那から北濠州まで産し、長《たけ》七フィートに達しこの属の最大者だ。前に述べたカンボジア初王の前身大蜥蜴だった故、国民今に重舌《にまいじた》を遣《つか》うとあるはこの物だろう。セイロンではカバラゴヤと呼び、今もその膏《あぶら》を皮膚病に用い、また蒟醤葉《きんまのは》に少し傅《つ》けて人に噛ませ毒殺す。『翻訳名義集』に徳叉迦竜王《とくしゃかりょうおう》を現毒また多舌と訳しあるは、鱗蛇に相違なく、毒竜の信念は主にこの蜥蜴より出たのだろう。
[#「第5図 エジプトの大蜥蜴ヴァラヌス・ニロチクス」のキャプション付きの図(fig1916_05.png)入る]
仏在世、一種姓竜肉を食い、諸比丘またこれを食うあり、竜女仏の牀前《しょうぜん》に到りて泣く、因って仏竜の血骨筋髄一切食うを禁じ、身外皮膚病あらば竜の骨灰を塗るを聴《ゆる》すとあるも、この蜥蜴であろう。また倶梨迦羅竜王《くりからりゅうおう》支那で黒竜と訳し、不動明王の剣を纏《まと》い居る。これも梵名クリカラサで一種の蜥蜴
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