いが、材料は夥《おお》くある故、出来るだけ遣って見よう。
まずクック氏は、蛇類は建築物や著しき廃址に寓し、池《いけ》壁《かべ》樹《き》の周囲《ぐるり》を這《は》い、不思議に地下へ消え去るので、鳥獣と別段に気味悪く人の注意を惹《ひ》いた。その滑り行く態《さま》河の曲れるに似、その尾を噛《か》むの状大河が世界を環《めぐ》れるごとく、辛抱強く物を見詰め守り、餌たるべき動物を魅入《みい》れて動かざらしめ、ある種は飼い馴《な》らしやすく、ある種は大毒ありて人畜を即死せしめ、ある物を襲うに電と迅さを争うなど、夙《つと》に太古の人を感ぜしめたは必定なれば、蛇類を馴らし弄《もてあそ》んだ人が衆を驚かし、敬われたるも怪しむに足らず。あるいは蛇の命長く、定時に皮を脱ぎかえるを見て、霊魂不死と復活を信ずるに及んだ民もあるべしと述べて、竜の諸譚は蛇を畏敬するより起ったように竜と蛇を混同してその崇拝の様子や種別を詳説されたが、竜と蛇の差別や、どんな順序で蛇てふ観念が、竜てふ想像に変じたか、一言もしおらぬ。
上に述べた通り、古エジプトや西アジアや古欧州の竜は、あるいは無足の大蛇、あるいは四足二翼のものだったが
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