のも、実拠なきにあらず、かつ竜既に翼ある上は鳥類と見立て、四足よりも二足を正当としたらしい。支那で応竜を四足に画いた例を多く見たが、邦俗これを画くに、燕を背から見た風にし、一足をも現わさぬは、燕同様短き二足のみありという意だろう。
 一三三〇年頃仏国の旅行僧ジョルダヌス筆、『東方驚奇編《ミラビリア・デスクリプタ》』にいわく、エチオピアに竜多く、頭に紅玉《カルブンクルス》を戴《いただ》き、金沙中に棲み、非常の大きさに成長し、口から烟状の毒臭気を吐く、定期に相集まり翼を生じ空を飛ぶ。上帝その禍を予防せんため、竜の身を極めて重くし居る故、みな楽土より流れ出る一《ある》河に陥《お》ちて死す、近処の人その死を覗《うかが》い、七十日の後その尸《しかばね》の頭頂《いただき》に根生《ねざし》た紅玉を採って国の帝に献《たてまつ》ると。十六世紀のレオ・アフリカヌス筆、『亜非利加記《アフリカイ・デスクリプチオ》』にいう、アトランテ山の窟中に、巨竜多く前身太く尾部細く体重ければ動作労苦す、頭に大毒あり、これに触れまた咬まれた人その肉たちまち脆《もろ》くなりて死すと。すべて※[#「魚+王の中の空白部に口が四つ」
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