ら》童子を使うて、世間の新聞一切報告せしむる方を載せ、この童子用なき日は、一百金銭を持ち来り、持呪者に与う、しかしその銭は仏法僧のために用《つか》い却《はた》し、決して吝《おし》んじゃいけないとは、例の坊主勝手な言で、果してさようなら、持呪者は只働《ただばたら》きで余り贏利《もうけ》にならぬ、この緊羯羅は瞋面怒目赤黄色狗牙上に出で、舌を吐いて唇を舐め、赤衣を着たという人相書で、これに反し制※[#「てへん+適」、第4水準2−13−57]迦《せいたか》は、笑面黄白色の身相、人意を悦ばしむと見ゆ。この者も持呪者のために一切の要物《いるもの》を持ち来り、不快な物を除《の》け去り、宅舎《いえ》を将ち来り掃灑《そうじ》し、毒害も及ぶ能わざらしめるなど至極重宝だが、持呪者食時ごとに、まず飲食をこれに与え、また花香|花鬘《けまん》等を一日欠かさず供えずば、隠れ去って用を為《な》さぬとある。
『不動使者陀羅尼秘密法』に、〈不動使者小童子形を作《な》す、両種あり、一は矜禍羅《こんがら》と名づく(すなわち宮迦羅《くがら》)、恭敬小心の者なり、一は制※[#「咤−宀」、第3水準1−14−85]迦と名づく、共に語
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