三人の中の一人がムシュー・ドファルジュに言った。「こぼれた葡萄酒はみんな飲んじまったかい?」
「一|滴《しずく》も残さずによ、ジャーク。」とムシュー・ドファルジュは答えた。
こんな風に洗礼名★の交換がすんだ時、マダーム・ドファルジュは、爪楊枝で歯をほじくりながら、また一つ咳払いをし、また少し眉毛を揚げた。
「あのみじめな獣たちは大抵は、」と三人の中の二番目の者がムシュー・ドファルジュに向って言った。「葡萄酒の味を知るなんてこたあ滅多にねえんだからな。いや、葡萄酒だけじゃねえ、黒パンと死ぬこととの他《ほか》のものの味を知るってことは滅多にねえんだ。そうじゃねえか、ジャーク?」
「そうだよ、ジャーク。」とムシュー・ドファルジュは返答した。
こうして二度目にその洗礼名を交換している時に、マダーム・ドファルジュは、極めて落著き払ってやはり爪楊枝を使いながら、また一つ咳払いをし、また少し眉毛を揚げた。
今度は、三人の中の最後の者が、空《から》になった酒を飲む器《うつわ》を下に置いて脣をぴちゃぴちゃ舐めながら、自分の言うことを言い出した。
「ああ! それよりはもっと悪いんさ! ああいう可哀そ
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