日の昼の旅行や前々日のパリーでのことの追想。それから深い夜の闇の三時間。この夜から朝へかけての叙述もまた最も傑れている部分の一つである。夏の夜は早く次第に明けかかり、遂に館でも夜がすっかり明け放れると、館の大鐘が鳴り響き、人々があわただしく駈け※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]り、ただならぬ模様。侯爵もまた寝室で石になったのである。彼を突き刺した短刀に附いている紙片の文句によれば、ドファルジュの仲間であるジャークの一人に暗殺されたのであって、暗殺者が前日に侯爵の馬車の下にぶら下って来た脊の高い男であり、パリーで侯爵に子供を轢き殺されたガスパールであることは暗示されている。この物語の主要な人物は既に全部出揃い、読者はそれらの人物について一通りは知ったのである。
[#ここで字下げ終わり]
            ――――――――
[#地から2字上げ]第二巻未完。



底本:「二都物語 上巻」岩波文庫、岩波書店
   1936(昭和11)年10月30日第1刷発行
   1967(昭和42)年4月20日第26刷発行
※「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」
前へ 次へ
全341ページ中339ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
ディケンズ チャールズ の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング