眠っていた。たぶん、飢えた者が通例するように御馳走の夢をみながら、また、こき使われる奴隷や軛《くびき》をかけられた牡牛がするかもしれぬように安楽と休息との夢をみながら、村の瘠せた住民たちは深く眠って、食物を食べ自由の身となっていた。
暗い三時間を通じて、村の飲用泉は見えず聞えずに流れ、館の噴水は見えず聞えずに落ち、――どちらも、時の泉から流れ落ちる分秒のように、溶け去った。それから、その二つの灰色の水が薄明りの中に幽霊のように見え出し、館の石造の顔は眼を開いた。
次第次第に明るくなってゆき、とうとう、太陽は静かな樹々の頂に触れ、丘の上一面にその輝かな光を注いだ。その真紅の光を浴びて、館の噴水の水は血に変ったように見え、石造の顔は深紅色になった。小鳥の楽しく囀る声は高く賑かであった。そして、侯爵閣下の寝室の大きな窓の風雨に曝された窓敷の上で、一羽の小鳥が力一杯にこの上もなく美わしい声で歌を歌った。それを聞くと、一番近くの石造の顔はびっくりして眼を見張ったように思われ、口をぽかんと開《あ》け下顎をだらりと下げて、怖《お》じ恐れたように見えた。
いよいよ、太陽はすっかり昇って、村では活
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