特にそれだけのために携えている小さな器具で攪拌して泡立たせる。三番目の侍者は恵まれたるナプキンを捧呈する。四番目の侍者(これが例の二箇の金時計を持っている男)はチョコレートを注《つ》ぐのである。モンセーニュールにとっては、こういう四人のチョコレート係《がかり》の侍者の中の一人が欠けても、この讃美にみちた天の下で彼の高い地位を保つことは出来ないのであった。もし彼のチョコレートが不名誉にもわずか三人の人間に給仕されるようなことがあったならば、彼の家名の穢《けが》れははなはだしいものであったろう。二人であったなら彼は憤死したに違いない。
モンセーニュールは昨晩もささやかな晩餐に出かけたのであった。その席では喜劇と大歌劇《グランド・オペラ》とが極めて楽しく演ぜられた。モンセーニュールは大概の晩はささやかな晩餐に出かけて、嬌艶な来会者たちに取巻かれるのであった。モンセーニュールは極めて優雅で極めて多感であらせられたので、喜劇や大歌劇《グランド・オペラ》は、退屈な国家の政務や国家の機密に与っている彼には、全フランスの窮乏よりも遥かに多く彼を動かす力があった。フランスにとっては幸福なことだ。同じよ
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