性質から言って実に珍しい一劃で、実に一種特別な耳のような場所であったので、ロリー氏が開《あ》けてある窓のところに立って、足音の聞えた父と娘との来るのを待っていると、彼等が決して近づいて来ないのではなかろうかというような気がするのであった。その足音が向うへ行ってしまったかのように、さっきの反響が消え失せたばかりではない。決してやって来ない他の足音の反響がその代りに聞えて来て、それが間近に来たかと思うとそれっきり消え失せてしまうのだった。けれども、父と娘とはとうとう姿を見せた。そしてプロス嬢はその二人を出迎えるために表戸口のところに待ち構えていた。
 たとい荒っぽくて、赭ら顔で、怖《こわ》い顔付ではあっても、プロス嬢が、自分の大好きな令嬢が二階へ上るとその帽子を脱がせて、それを自分のハンケチの端でちょっと手入れをして直し、埃《ほこり》を吹き払ってやったり、いつでもしまわれるように彼女のマントを摺《たた》んでやったり、彼女の豊かな髪の毛を、自分自身がもしこの上もなく虚栄心の強いこの上もなく美しい女であったなら、自分の髪の毛にあるいは持ったかもしれないほどの誇らしさで、撫でつけてやったりしてい
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