を降りるのを照してやった時、夜明《よあけ》の光はもうそこの汚《よご》れた窓から寒そうに覗き込んでいた。彼がその建物から外へ出ると、空気は冷くて陰気で、空はどんよりと曇り、河★は仄暗くくすみ、あたりの光景は生気のない沙漠のようであった。そして砂塵の渦巻が朝風に吹かれてくるくるくるくると※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]っていた。それはまるで沙漠の砂が遠い彼方《かなた》で捲き上って、それのこちらへと進んで来る最初の砂塵がこの市を覆い始めたようでもあった。
 裡《うち》には精根が尽き果て、周囲は一面に沙漠に囲まれて、この男はひっそりした台地を横切ってゆく途中でじっと立ち止った。そして一瞬間、立派な野心と、克己と、堅忍との蜃気楼が、自分の眼前の曠野に横わるのを見た。その幻影の美わしい都には、夢のような桟敷があってそこから愛の神や美の神たちが彼を見ており、花園があってそこには生命の果実が熟して下っており、希望の泉があって彼の見えるところできらきら光っていた。それもほんの一瞬間で、すぐに消え失せてしまった。彼は井桁形に建てられた家の高い部屋まで攀じ上ると、顧みられぬがちの寝台《ベッド》の上
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