服を寛《くつろ》げて、隣室に入って行ったが、冷水の入っている大きな水差と、洗盤と、一二枚のタオルとを持って戻って来た。そのタオルを水に浸して、少し絞《しぼ》ると、彼は見るも物凄い工合にそれを摺《たた》んで頭の上にのっけて、卓子《テーブル》に向って腰を掛け、それから言った。「さあ、用意が出来たぞ!」
「今夜の煮詰め仕事は大してないよ、記憶の名人。」とストライヴァー氏は、書類を見※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]しながら、陽気に言った。
「どれだけ?」
「たった二口さ。」
「むずかしい奴を先にくれ。」
「ほら、それだよ、シドニー。どしどしやるんだ!」
 獅子は、それから、酒の載っている卓子《テーブル》の一方の側にある長椅子《ソーファ》に背を凭れかけてゆったりと構えた。豺の方は、そのもう一方の側にある、書類の散乱している自分自身の卓子《テーブル》に向って、酒罎と杯とがすぐに手の届くところに腰掛けた。二人とも頻りに酒の卓子《テーブル》に手を出したが、その出し方は銘々で違っていた。獅子の方は、大抵は両手を腰の帯革《バンド》にかけて凭れていて、炉火を眺めたり、時々は何か手軽な方の書類をいじ
前へ 次へ
全341ページ中200ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
ディケンズ チャールズ の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング