のと信じていたのであった。
 ダーネー氏は熱情と感謝とをこめて彼女の手に接吻し、それからストライヴァー氏の方へ振り向いて、彼に厚く礼を言った。ストライヴァー氏は、三十を少し越しただけだが、実際よりは二十歳も老《ふ》けて見える、太った、大声の、赭ら顔の、ざっくばらんな男で、敏感《デリカシー》などというひけめは一切持ち合せていなかった。人中《ひとなか》へも会話へも他人を肩で押し分けて(精神的にも肉体的にも)割込んでゆく押の強いたちであった。それは、彼が実生活でも他人を肩で押し分けて出世してゆくことを十分証拠立てているのだった。
 彼はまだ仮髪《かつら》と弁護士服とを著けていた。そして、人のいいロリー氏をその一団からすっかり押し出してしまうまでに、自分のさっきの弁護依頼人に向って肩肱を張って、言った。「わたしは君を立派に救い出してあげたんで嬉しいですよ、ダーネー君。あれはどうも不埓な告発でした。実に不埓なものでした。だが、そのためにかえってうまくゆきそうだったんですな。」
「私は一生御恩に著《き》ます、――二つの意味で。」と彼のさっきの弁護依頼人が、相手の手を取りながら、言った。
「わたしは
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