見物人を戯れて言ったのであろう。
轎  一人乗りで二人の轎夫《かごかき》が棒で肩に担いで運ぶもの。十七八世紀にヨーロッパの諸都市で流行した。
ポルト葡萄酒  ポルトガルのオポルト原産の有名な葡萄酒。
ラッドゲート・ヒル  オールド・ベーリーのあるニューゲート街の南に、聖《セント》ポール寺院から西に通じている街路。フリート街に続く。そのフリート街の南にはテムプルがあり、その西端にはテムプル関門があるのである。
一パイント  わが三合余に当る。
蝋垂れが…………  イギリスでは、蝋燭の蝋垂れの垂れ落ちる方向にいる人の身の上に凶事殊に死が来る、という迷信がある。
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 〔第五章 豺〕
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ポンス  酒、砂糖、牛乳、レモン、及び香料などを混和して製した飲料。
民事高等裁判所  または単に高等裁判所、あるいは最高民事法院、または単に高等法院とも訳される。原名では「王座裁判所」と言われ、イギリスの最高の裁判所であった。ゆえに、ストライヴァーはオールド・ベーリーも普通刑事裁判所も自分の出世の「梯子の下の方の段」として関係を断とうとしていたのである。
仮髪の花壇  仮髪を著けている裁判官、弁護士たちの席を意味する。
ヒラリー期からミケルマス期までの間に  イギリスではもと高等法院の開廷期が四期に分れていた。ヒラリー期(一月十一日から同月三十一日まで)、イースター期(四月十五日から五月八日まで)、トゥリニティー期(五月二十二日から六月十二日まで)、ミケルマス期(十一月二日から同月二十五日まで)である。ゆえに「ヒラリー期からミケルマス期までの間」とは、厳密に言えば一月十一日から十一月二十五日まで、すなわち高等法院の約一箇年間をさすのである。
巡囘裁判  昔は裁判官が折々田舎を※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]って裁判した。その時は弁護士もその裁判官に附随して巡囘した。
豺  豺は獅子のために餌をあさりその報酬として食い残りの骨片を与えられるという昔からの言伝えがあるので、「豺」という語は、他人のために下働きをする者、人の手先となって働く者、という意味に使われる。
ストライヴァーの事務室に…………  第二巻第一章の「テムプル」の註に記したように、テムプルには法学会院がある。その法学会院内には弁護士の事務室がある。大抵数
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