を御覧よ。」
 スクルージはうやうやしげな態度でそうした。精霊は、白い毛皮で縁取った、濃い緑色の簡単な長衣、若しくは外套のようなものを身にまとっていた。この着物は体躯《からだ》の上にふわりと掛けてあるばかりで、その広やかな胸は丸出しになっていた。その有様は、さもそんな人工的なものを用いて包んだり護ったりするには及ばないと威張っているようであった。上衣の深い襞の下から見えているその足も、矢張り裸出《むきだ》しであった。またその頭には、ここかしこにぴかぴか光る氷柱《つらら》の下がっている柊の花冠の外に、何一つ冠ってはいなかった。その暗褐色の捲毛は長くかつゆるやかに垂れていた。ちょうどそのにこやかな顔、きらきらしている眼、開いた手、元気の好い声、打ち寛《くつろ》いだ態度、快げな容子と同じようにゆるやかに。またその腰の周りには古風な刀の鞘を捲いていた。が、その中に中味はなかった。而もその古い鞘は銹びてぼろぼろになっていた。
「お前さんはこれまで俺《わし》のような者を見たことがないんだね!」と、精霊は叫んだ。
「決して御座いません」と、スクルージはそれに返辞をした。
「俺《わし》の一家の若い連中
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