て、歩くなぞと云うことは夢にも考えていない人達なのだ。
が、彼等の人数が二倍あっても――おお、四倍あっても――老フェッジウィッグは立派に彼等の対手になれたろう、フェッジウィッグ夫人にしてもその通りだ。彼女はと云えば、相手という言葉のどういう意味から云っても、彼の相手たるに応わしかった。これでもまだ讃め足りないなら、もっと好い言葉を教えて貰いたい、私はそれを使って見せよう。フェッジウィッグの腓《ふくらはぎ》からは本当に火花が出るように思われた。その腓《ふくらはぎ》は踊のあらゆる部分において月のように光っていた。ある一定の時において、次の瞬間にその腓《ふくらはぎ》がどうなるか予言せよと云われても、何人にも出来なかったに相違ない。老フェッジウィッグ夫婦が踊の全部をやり通した時――進んだり退いたり、両方の手を相手に懸けたまま、お叩頭をしたり、会釈をしたり、手を取り合ってその下をくぐったり、男の腕の下を女がくぐったり、そして、再びその位置に返ったりして、踊の全部をやり通した時、フェッジウィッグは「飛び上った」、――彼は足で瞬きをしたかと思われたほど巧者に飛び上った。そして、蹌踉《よろめ》きもせ
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