等はまたもやひっそりとなった。が、漸くにして、彼女は云った、それもしっかりした元気の好い声で――それは一度慄えただけであった。――
「阿父さんは好くちび[#「ちび」に傍点]のティムを肩車に乗せてお歩きになったものだがねえ、それもずいぶん速くさ。」
「僕もおぼえています」と、ピータアは叫んだ。「たびたび見ましたよ。」
「わたしも覚えていますわ」と、他の一人が叫んだ。つまり皆が皆覚えているのであった。
「何しろあの児は軽かったからね」と、彼女は一心に仕事を続けながら、再び云った。「それに阿父さんはあの児を可愛がっておいでだったので、肩車に乗せるのが些《ちっ》とも苦にならなかったのだよ、些とも。ああ阿父さんのお帰りだ!」
 彼女は急いで迎えに出た。そして、襟巻に包《くる》まった小ボブ――実際彼には慰安者(註、原語では襟巻と慰安者の両語相通ず。)が必要であった、可哀そうに――が這入って来た。彼のためにお茶が炉棚の上に用意されていた。そして、一同の者は誰が一番沢山彼にそのお茶の給仕をするかと、めいめい先を争ってやって見た。その時二人の小クラチットどもは彼の膝の上に乗って、それぞれその小さい頬を彼
前へ 次へ
全184ページ中157ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
ディケンズ チャールズ の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング