った。「分りました。分りました。この不幸な人間のように私もなるかも知れませんね。今では、私の生活もそちらの方へ向いて居ります。南無三、こりゃどうしたのでしょう!」
 目の前の光景が一変したので、彼はぎょっとして後へ退った。彼は今やほとんど一つの寝床に触れようとしていたのだ。帷幄も何もない露出《むきだ》しの寝床である。その寝床の上には、ぼろぼろの敷布に蔽われて、何物かが横わっていた。それは何とも物は云わないが、畏ろしい言葉でそれが何物であるかを宣言していた。
 この部屋は非常に暗かった、どんな風の部屋であるか知りたいと思う内心の衝動に従って、スクルージはその部屋の中をぐるりと見廻わしては見たが、少しでも精密に見分けようとするには余りに暗かった。戸外の空中に昇りかけた(朝の太陽の)薄白い光が真直に寝床の上に落ちた。するとその寝床の上に、何も彼も剥ぎ取られ、奪われて、誰一人見張っている者もなければ、泣いてやる者もなく、世話の仕手《して》もないままで、この男の死体が横わっていた。
 スクルージは精霊の方を見やった。そのびく[#「びく」に傍点]ともしない手は死体の頭部を指していた。覆い物は、一寸
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