、本当にねえ」と、クラチット夫人は真赧になりながら叫んだ。「本当に此辺へでもあの人がやって来て見るがいい、思いさま毒づいて御馳走してやるんだのにねえ! あの人のことだから、それでも美味しがって存分喰べることでしょうよ。」
「ねえ、お前」と、ボブは云った。「子供達が居るじゃないか! それに聖降誕祭だよ。」
「たしかに聖降誕祭に違いありませんわね」と、彼女は云った。「スクルージさんのような、憎らしい、けちん坊で、残酷で、情を知らない人のために祝盃を上げてやるんですから。貴方だってそう云う人だとは知っているじゃありませんか、ロバート。いいえ、何人だって貴方ほどよくそれを知っている者はありませんわ、可哀相に。」
「ねえ、お前」と、ボブは穏かに返辞をした。「基督降誕祭だよ。」
「私も貴方のために、また今日の好い日のためにあの人の健康を祝いましょうよ」と、クラチット夫人は云った。「あの人のためじゃないんですよ。彼に寿命長かれ! 聖降誕祭お目出度う、新年お目出度う! あの人はさぞ愉快で幸福でしょうよ、きっとねえ。」
子供達は彼女に倣って祝盃を挙げた。彼等のやったことに真実が籠っていなかったのは、こ
前へ
次へ
全184ページ中107ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
ディケンズ チャールズ の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング