して、ポケットから、ナイフとフォークを取り出して食べはじめました。みんなは、私の有様が面白くてたまらないようでした。
 細君は女中を呼んで、小さなコップを持って来させました。小さいといっても、三ガロン(約五升)は入りそうなコップですが、それに飲物を注いでくれました。それを私はやっと両手でかゝえあげると、まず、英語で、できるだけ大きな声を張り上げて、細君の健康を祝しました。それから、うや/\しくコップを頂戴しました。すると、みんなはお腹をかゝえて笑いだしましたが、その笑い声のもの凄さ、私は耳がつんぼ[#「つんぼ」に傍点]になるばかりでした。
 この飲物はサイダーのような味なので、私はおいしく、いたゞきました。しばらくすると、主人は私を手まねで、彼の皿のところへ来い、と招きました。しかし、なにしろ私はテーブルの上をビク/\しながら歩いているのでしたから、パンの皮に躓《つまず》くと、うつ伏せに、ペたんと倒れてしまいました。けれども、怪我はなかったのです。すぐに起き上りましたが、みんながひどく心配してくれるので、私は小脇にかゝえていた帽子を手に取り、頭の上で振りながら、「万歳!」と叫びました
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