攻撃する、と、こんなことを言うのです。
 それからまた、あなたの味方の宮内大臣レルドレザルは、こんなことを言います。殺すのは、どうもひどすぎるから、たゞ、あなたの両方の眼をつぶすことにしたらどうでしょうか、と、こんなことを陛下に申し上げたのです。すると、これには議員たちがみな反対しました。
 君は叛逆者の生命を助けようとするのか、と、ボルゴラムはどなりだしました。皇后の御座所の火事を立小便で消すことのできるような男なら、いつ大水を起して宮城を水浸しにしてしまうかもわからない、それに、敵艦隊を引っ張って来たあの力では、一たん何か腹を立てゝ暴れだしたら大へんなことになる、と、ボルゴラムは死刑を説くのです。
 大蔵大臣も、あんな男を養っていては、間もなく国が貧乏になってしまうと言って、死刑を主張しました。しかし、陛下はどこまでも、あなたを死刑にはしたくないお考えでした。
 両方の眼をつぶしただけでは、刑が軽すぎるというのなら、食物を減して、だん/\やせ衰えさせるといゝでしょう、身体が半分以上も小さくなって死ねば、死骸から出る臭だって、そう恐ろしくはないし、骸骨だけは記念物として残しておけま
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