。になったかとおもうと、たちまち、何もかもわからなくなりました。ほんとに、このときほどよく眠ったことは、生れてから今まで、一度もなかったことです。
 ほっと目がさめると、もう夜明けらしく、空が明るんでいました。さて起きようかな、と思い、身動きしようとすると、どうしたことか、身体がさっぱり動きません。気がつくと、私の身体は、手も足も、細い紐《ひも》で地面に、しっかりくゝりつけてあるのです。髪の毛までくゝりつけてあります。これでは、私はたゞ、仰向けになっているほかはありません。
 日はだん/\暑くなり、それが眼にギラ/\します。まわりに、何かガヤ/\という騒ぎが聞えてきましたが、しばらくすると、私の足の上を、何か生物が、ゴソ/\這《は》っているようです。その生物は、私の胸の上を通って、顎《あご》のところまでやって来ました。
 私はそっと、下目を使ってそれを眺めると、なんと、それは人間なのです。身長六インチもない小人が、弓矢を手にして、私の顎のところに立っているのです。そのあとにつゞいて、四十人あまりの小人が、今ぞろ/\歩いて来ます。いや、驚いたの驚かなかったの、私はいきなり、ワッと大声を立てたものです。
 相手も、びっくり仰天、たちまち、逃げてしまいました。あとで聞いてわかったのですが、そのとき、私の脇腹から地面に飛びおりるひょうしに、四五人の怪我人も出たそうです。
 しかし彼等はすぐ引っ返して来ました。一人が、何か鋭い声で訳のわからぬことを叫ぶと、他の連中が、それを繰り返します。私はどうも気味が悪いので、逃げようと思い、もがいてみました。と、うまく左手の方の紐が切れたので、ついでに、ぐいと頭を持ち上げて、髪の毛をしばっている紐も、少しゆるめました。これで、どうやら首が動くようになったので、相手をつかまえてやろうとすると、小人はバタ/\逃げ出してしまうのです。
 そのとき、大きな号令とともに、百幾本の矢が私の左手めがけて降りそゝいで来ました。それはまるで針で刺すようにチク/\しました。そのうちに矢は顔に向って来るので、私は大急ぎで左手で顔をおゝい、ウン/\うなりました。逃げようとするたびに、矢の攻撃はひどくなり、中には、槍でもって、私の脇腹を突きに来るものもあります。私はとう/\、じっと、こらえていることにしました。そのうち夜になれば、わけなく逃げられるだろうと考えたの
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