Bがついていました。私どもは、その鎖についているものを引き出してみよ、と言いました。これは半分は銀で、半分は透明なもので出来ています。彼はこの機械を、私どもの耳の傍《かたわら》へ持って来ました。すると、水車のように絶えず音がしているのです。これは不思議な動物か、小さな神様らしく思えます。人間山の説明では、彼は何をするにも、いち/\、この機械と相談するということです。
 次に、彼は左の内ポケットから、漁夫の使うような網を取り出しました。これは財布だそうです。中には重い黄色い金属がいくつか入っていました。これがほんとの金だとすれば、大したものにちがいありません。
 このようにして、私どもは陛下の命令どおり、熱心に彼の持ち物を調べてみましたが、最後に、彼の腰のまわりに、一つの帯があるのを見つけました。それは何か大きな動物の革でこしらえたもので、その左の方からは、人間五人分の長さの剣が下っておりました。右の方からは、袋が下っておりました。
 私どもは人間山の身体から発見したものを、このように、書きとめておきます。人間山は、陛下を尊敬して、礼儀正しく、私どもを待遇してくれました。」

 この目録は皇帝の前で読みあげられました。
 皇帝は、ていねいな言葉で、その目録に書いてある品物を、私に出せと言われました。まず短刀を出せと言われたので、私は鞘ごとそれを取り出しました。このとき、皇帝は三千の兵士で私を遠くから取り囲み、いざといえば、弓矢で射るように用意されていたのでした。が、私の目は皇帝の方だけ見ていたので、それには少しも気がつきませんでした。
「その短刀を抜いてみよ。」
 と皇帝は言われました。刀は潮水で少し錆《さ》びてはいましたが、まだよく光ります。スラリと抜き放つと、兵士どもは、あッと叫んで、みんな驚き恐れました。振りかざしてみせたら、太陽の反射で、刀がピカ/\光り、兵士はみんな目がくらんでしまったのです。が、皇帝はそれほど驚かれませんでした。それをもう一度、鞘におさめて、鎖の端から六フィートほどの地上に、なるたけ静かに置け、と私に命令されました。
 次に皇帝は、鉄の筒を見せよと言われました。鉄の筒というのは、私のピストルのことです。私はそれを取り出して、その使い方を説明しました。そのピストルに火薬を詰めて、
「今から使って見せますが、どうか驚かないでください。」
 と皇
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