ヘ雲一つなく、太陽がギラ/\照りつけるので、まぶしくて顔をそむけていました。
そのときでした。突然、あたりが暗くなったのです。しかも、これは太陽が雲にさえぎられたときの暗さとは違っていました。振り返って見ると、これはまたどうしたことでしょう。今、私と太陽との間に、何か途方もなく大きなものが、ずん/\島の方へ向って進んで来るのです。高さは二マイルばかりありそうでした。そして、六七分間というものは、すっかり、太陽を隠してしまいました。
やがて、その物は私の真上に来ましたが、見ると、どうもそれは固い塊りのようで、底の方が平たくなっているのです。ちょうどそのとき、私は二百ヤードばかりの高い丘の上に立っていたのですが、やがて、その大きな物はずん/\下にさがって来ました。そして、私から一マイルとは離れていない眼の前に見えて来たのです。私はさっそく、望遠鏡を取り出して眺めました。その物体の斜面には、たくさんの人間が上下に動きまわっているのです。その姿がはっきりと見えるのです。たゞ、何をしているのかは、わかりませんでした。
私は、今、空に浮んでいるその島が、どちら側へ動きだすかと、じっと眺めていました。が、間もなく、島はこちらの方へ近づいて来たのです。見ると、その側面には、通路が何段にも分れていて、ところ/″\に階段があって、のぼりおりできるようになっています。一番下の通路では、数人の男が長い釣竿で魚釣をしているし、それをそばから眺めている男もいます。
私はその島に向って、帽子とハンカチを振りましたが、いよ/\近づいて来たので、声をかぎりに叫んでみました。そのうちに、向うでは、私の一番よく見える側へ、人々がぞろ/\集って来ました。そして、彼等は今しきりに私の方を指さしながら、互に顔を見合せているのです。と、四五人の男が階段を駈け上って行ったかと思うと、そのまゝ見えなくなりました。これはきっと誰か偉い人のところへ私のことを告げに行ったのだろう、と私は考えました。そして、それはそのとおりでした。
人の数が次第にふえてきました。それから半時間ばかりすると、島は上の方へのぼって行き、一番下の道路が、私の立っている丘から、百ヤードぐらいのところに、真正面に見えてきました。私は一生懸命、救いを求めるように話しかけてみましたが、何とも答えてくれません。私のすぐ前に立っている人々は、その
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