程」
「然るところ、昨今これに身請《みうけ》の客が附きまして」
「ああ、身請の? 成程」
「否でもその方へ参らんければ成りませんやうな次第。又私はその引負《ひきおひ》の為に、主人から告訴致されまして、活《い》きてをりますれば、その筋の手に掛りますので、如何《いか》にとも致方《いたしかた》が御座いませんゆゑ、無分別《むふんべつ》とは知りつつも、つい突迫《つきつ》めまして、面目次第も御座いません」
 彼等はその無分別を慙《は》ぢたりとよりは、この死失《しにぞこな》ひし見苦しさを、天にも地にも曝《さら》しかねて、俯《ふ》しも仰ぎも得ざる項《うなじ》を竦《すく》め、尚《なほ》も為ん方無さの目を閉ぢたり。
「ははあ。さうするとここに金さへ有れば、どうにか成るのでせう! 貴方の費消《つかひこみ》だつて、その金額を弁償して、宜《よろし》く御主人に詑《わ》びたら、無論内済に成る事です。婦人の方は、先方で請出すと云ふのなら、此方《こつち》でも請出すまでの事。さうして、貴方の引負《ひきおひ》は若干《いくら》ばかりの額《たか》に成るのですか」
「三千円ほど」
「三千円。それから身請の金は?」
 狭山は女を顧
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