にあらず、お峯は常に夫の共に謀《はか》ると謂ふこと無くて、女童《をんなわらべ》と侮《あなど》れるやうに取合はぬ風あるを、口惜《くちをし》くも可恨《うらめし》くも、又或時は心細さの便無《たよりな》き余に、神を信ずる念は出でて、夫の頼むに足らざるところをば神明《しんめい》の冥護《みようご》に拠《よ》らんと、八百万《やほよろづ》の神といふ神は差別無《しやべつな》く敬神せるが中にも、ここに数年|前《ぜん》より新に神道の一派を開きて、天尊教と称ふるあり。神体と崇《あが》めたるは、その光紫の一大|明星《みようじよう》にて、御名《おんな》を大御明尊《おおみあかりのみこと》と申す。天地渾沌《てんちこんとん》として日月《じつげつ》も未《いま》だ成らざりし先|高天原《たかまがはら》に出現ましませしに因《よ》りて、天上天下万物の司《つかさ》と仰ぎ、諸《もろもろ》の足らざるを補ひ、総《すべ》て欠けたるを完《まつた》うせしめんの大御誓《おほみちかひ》をもて国土百姓を寧《やすらけ》く恵ませ給ふとなり。彼は夙《つと》に起信して、この尊をば一身|一家《いつけ》の守護神《まもりがみ》と敬ひ奉り、事と有れば祈念を凝《こら
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