わがれごゑ》の如何《いか》に弁ずるかを聴かんと、吃余《すひさし》の葉巻を火入《ひいれ》に挿《さ》して、威長高《ゐたけだか》に腕組して控へたり。
「遊佐君の借財の件ですがね、あれはどうか特別の扱《あつかひ》をして戴きたいのだ。君の方も営業なのだから、御迷惑は掛けませんさ、然し旧友の頼《たのみ》と思つて、少し勘弁をしてもらひたい」
彼も答へず、これも少時《しばし》は言はざりしが、
「どうかね、君」
「勘弁と申しますと?」
「究竟《つまり》君の方に損の掛らん限は減《ま》けてもらひたいのだ。知つての通り、元金《もとこ》の借金は遊佐君が連帯であつて、実際頼れて印を貸しただけの話であるのが、測らず倒れて来たといふ訳なので、それは貸主の目から見れば、そんな事はどうでも可いのだから、取立てるものは取立てる、其処《そこ》は能《よ》く解つてゐる、からして今更その愚痴を言ふのぢやない。然し朋友の側から遊佐君を見ると、飛んだ災難に罹《かか》つたので、如何《いか》にも気の毒な次第。ところで、図《はか》らずも貸主が君と云ふので、轍鮒《てつぷ》の水を得たる想《おもひ》で我々が中へ入つたのは、営業者の鰐淵として話を
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