っぽい薄ら明りがその全身を包んでいた。けれど、今にも次第に暗くなってきそうだった。眼に見えるようにじりじりと秋の日脚が傾いていった。冷々とした風が少し吹いて、さらさらと草の葉のそよぐ音がした。木和田五重五郎[#「木和田五重五郎」に傍点]の位牌が、野中の十字架のように思われた。雑草の中に一つぽつりと、灰白色の円いものが見えた。野晒しの髑髏だった。その上を冷たい風が掠めていった。彼は堪らなく淋しい気持になって、我知らず口の中で繰返した。――野ざらしを心に風のしむ身かな[#「野ざらしを心に風のしむ身かな」に傍点]。――それをいくら止めようとしても、やはり機械的に繰返されるのだった。一生懸命に止めようと努力すると、気が遠くなって野原の真中に倒れた。胸がまるで空洞になって、風がさっさっと吹き過ぎた。自分の魂が髑髏のようになって、胸の中に……野の中に転っていた。晩秋の日はずんずん傾いていった。大きな影が徐々に落ちてきた。風が止んで非常に静かになった。彼は立ち上ってまた歩きだした。胸がどきどきして、頭がかっと熱《ほて》っていた。眼が眩むようだった。細目に見開いてみると、すぐ前を厚い白壁が遮っていた。
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