から引っ被ってしまった。
その朝、彼は酒を飲まず、終日家に引き籠り、晩にはビール一本だけ飲んだ。それから十日間ばかり、彼は来客の誰にも逢わず、電話にも出なかった。不在、どこへ行ったか分らない、いつ帰るか分らない、それだけのことを女中に言わせ、誰彼の差別はつけなかった。――それから先のことは不明である。
底本:「豊島与志雄著作集 第五巻(小説5[#「5」はローマ数字、1−13−25]・戯曲)」未来社
1966(昭和41)年11月15日第1刷発行
初出:「中央公論 文芸特集」
1951(昭和26)年1月
入力:tatsuki
校正:門田裕志、小林繁雄
2007年1月2日作成
青空文庫作成ファイル:
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