いか。もしそうならば、最も重大なものを見落してると言わなければならない。若いアメリカが持っていたもの、今もなお持ち続けているもの、所謂辺境精神、一種の清教徒的精神、独立戦争を指導した自由の精神、そういう理想主義的なものを、見落してると言わなければならない。そしてこの理想主義的なものこそ、真にアメリカを支えているものであって、これがなければ、如何なる文明も富も民主主義も人間の堕落を招来するだけであろう。
 ――アメリカのこの理想主義的なものを見落すことによって、人々は、政治的にアメリカから指導されつつある日本の現状について、誤った考えを懐いていやしないか。殊に、嘗ての日本の軍部に阿諛した態度そのままで、連合軍司令部にただ阿諛しようとする人々は、そうではあるまいか。先ずそれらの人々に問い質したいことがある。
 ――ゆっくり言うのは面倒だから、直截にやっつけよう。以前、士族と平民との区別が撤廃された時、諸君は恐らく、それらすべての人が平民になったように考えはしなかったか。だが、それらのすべての人がみな士族になったのだと考えては、なぜいけないか。そう考えるべきではあるまいか。ところで今回、華族
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