カ月間、融通してもらえないでしょうか。
 一万円ばかりと、金額をぼんやりさせておくことが大切であり、その代り、一カ月間と、期限を明確にしておくことが大切なのだ。この点を私は強調した。
 ――一カ月後には、伯父から金が来ることになっている。まかり間違ったら、僕自身の給料をそっくり返済にあてるつもりです。
 私の月給は一万円と少しばかりあるし、この儀に不安はない。ただ伯父というのだけが方便であるが、それも言葉の上のことで、他から金がはいる約束になっているのだ。
 ――どうにもせっぱつまったというほどのことでもないし、是非ともとお願い出来る事柄でもないが、もし融通して貰えたら、たいへん仕合せだと、お話してみたのです。
 少しくゆとりを示しておくことが必要なのである。
 ――この節は、病気をしたらとてもいけませんね。診察料のほか、注射薬、飲み薬、頓服薬と、どれもこれもばか高いし、その上に滋養物をとらなければならないし、僕のような貧乏人には大恐慌です。まあ僕が丈夫だからいいようなものの、然し、母と妹と三人暮しの、その母なものだから、出来るだけのことはしてやりたいのです。母の病気がなおらないうちは
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