て子供十三人、これなら充分一家繁栄で、目出度くなくもない……と津田洋造は考えた。そして自分が四十歳になったのを機会に、皆一堂に会してみたらと思って、妻の八重子に云ってみた。
「俺はもう四十になったのだから、体力の方から云えば、一生の盛りを越して、これから次第に衰えるかも知れないし、それよりも先ず第一に、酒の量が多いから、脳溢血だの脳貧血だの、そんな風な病気で、いつころりといってしまうかも分らない。だから、今のうちに、四十になったのを機会に、一度皆一緒に……お前が知ってる通り、丁度十三人の子供があって、互に会ったこともないのがあるから、一緒に集ってみたらと思うんだがね、どうだろう。一つ賑かに、園遊会みたいなことをやってもいいし、何処かへ出かけていってもいいし、兎に角皆の顔合せだけを、何とかしてみたいと思うんだがね……。」
八重子は長火鉢の前に、人形のように坐っていたが、眉根をぴくりとさした。
「そして、母親達も一緒でございますか。」
「そうさね、乳飲児や小さいのがあるから、子供ばかりというわけにもゆくまい。」
「それでは私だけ欠席さして頂きます。家の子はもう私が参らないでも大丈夫ですか
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