て相手を眺めた。眉目のくっきりとした白皙の秀才型の顔に、どこかのびやかな而も野性的な気味が滞っていた。言葉もはっきりしていた。正枝は暫く黙っていたが、やはりいつもの形式通りに押し通した。
「あの、どなたか、こちらを紹介なすった方がおありですか。」
「人から聞いて来ました。」
「私共では大抵、どなたかの紹介がある方にお願いしていますので……。」
「紹介はありません。学校の紹介ならいつでも貰って来ます。」
「いえ、それには及びませんけれど……。」
 そういう応対がなお続いて、不得要領のうちに李は帰っていった。
 翌日、李はまたやって来た。学校の学生証と電車の定期券とを正枝に示した。
 正枝は一瞥しただけでそれを却けて云った。
「私共は、ほかより少し室代が高くなっていますので、不経済ですよ。」
「それは構いません。」
「それに、御勉強なさるのに自炊ではお困りでしょう。」
「食事は外でも出来ます。」
「外のお食事は、かたよって、身体にいけませんよ。」
「自分でも作られます。時々作っています。」
「それが、学生さんにはなかなかねえ……まあ、よくお考えなすっては如何ですか。」
 また不得要領のまま
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