『レ・ミゼラブル』についても、このことは言い得らるる。
小説と論説との限界については、いろいろと微妙な問題がある。それはとにかく、『死刑囚最後の日』のごときは、小説と論説との中間をゆくものとして、注目すべき作品である。そして現在においても、「磔刑《たっけい》台のかわりに据《す》えられた十字架」の時代がくるまでは、かかる種類の作品はその存在の理由をありあまるほどもつだろう。
ついでにことわっておくが、『死刑囚最後の日』について、作品と序文とを逆にならべたのは、執筆順序にしたがったからのことである。それから、この作品の翻訳は、ずいぶん古い以前になされたものであって、原文の調子を尊重しすぎて詰屈《きっくつ》すぎるきらいがあるかもしれないが、改訂の隙《ひま》がなかったことをお詫びしておきたい。
[#地から3字上げ]訳者
底本:「死刑囚最後の日」岩波文庫、岩波書店
1950(昭和25)年1月30日第1刷発行
1982(昭和57)年6月16日改版第30刷発行
入力:tatsuki
校正:川山隆
2008年5月17日作成
青空文庫作成ファイル:
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