みな黄金《おうごん》にしてしまいました。くたびれてくると、大臣をよびました。つぎには、ごてんじゅうの役人をよびました。小石や銅貨をはこぶもの、それを皮袋《かわぶくろ》にいれて黄金にするもの、その黄金を部屋のすみにつみかさねるもの、おおさわぎでした。黄金がだんだんふえてゆくのをみて、みんなむちゅうになりました。
 一日たちました。一つの部屋が黄金でいっぱいになりました。
 二日たちました。二つの部屋が黄金でいっぱいになりました。
 王さまに、エキモスとおなじくらいな年ごろの王子がありました。王さまはじめみんなが、黄金をこしらえて、むちゅうになってるのをみて、かなしそうにいいました。
「そんなことをして、なにになりますか」
 でも、だれもへんじをしませんでした。
 三日……四日……五日たちました。五つの部屋が黄金でいっぱいになりました。
 王子はいいました。
「そんなことをして、なにになりますか」
 だれもへんじをしませんでした。
 六日たち、七日たちました。七つの部屋が黄金でいっぱいになりました。
 王子はかなしそうにいいました。
「そんなことをして、なにになりますか」
 だれもへんじを
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